屈折異常の新しい治療 <レーザー屈折矯正手術(LASIK)>

京都府立医科大学眼科

1)眼と屈折異常

正 視 近 視
正視 近視
遠 視 近視性乱視
遠視 近視性乱視

眼鏡やコンタクトレンズを使用すればはっきり見えるのに、そのような補助具を使わなければ見えにくい状態を屈折異常といいます。
屈折異常は近視、遠視、乱視に分類されますが、その中でも近視は最も多く、日本人全体の約半数が近視であると予測されます。
屈折異常は、眼球の大きさに対して、眼のレンズ系である角膜(黒目)や水晶体(眼球内のレンズ)のレンズ度数がつり合っていないことが原因です。

 

2)近視手術

眼鏡やコンタクトレンズを使用することが不自由に感じられる方々の、第3の方法としてエキシマレーザーを使った、角膜屈折矯正手術があります。エキシマレーザーは非常に高いエネルギー密度をもつレーザーで生体を精確に切除することができます。このレーザーで眼球光学系の一部である角膜(黒目)をレンズの形に切除することで、眼鏡やコンタクトと同様の効果が得られます。
これには、角膜表面から削るPRK(ピーアールケー)と、角膜を層状に切開して角膜内を削るLASIK(レーシック)の2種類の方法があります。

PRK(photorefractive keratectomy) LASIK(laser in situ keratomileusis)
PRK(photorefractive keratectomy) laser2

 

3)検査案内

京都府立医大眼科外来において、屈折矯正手術の専門外来を行っています。内容は、屈折矯正手術の説明と手術が可能かどうか判断するための検査をおこないます。

●京都府立医科大学・眼科外来

日 時 内 容
エキシマレーザー

屈折矯正手術外来

毎週月曜日午前 PTK、PRK、LASIK希望患者さんへのコンサルテーションとスクリーニング検査

関連病院であるバプテスト眼科クリニックにおいても屈折矯正手術の専門外来を行っています。内容は、屈折矯正手術をおこなうために必要な術前検査をおこないます。

●バプテスト眼科クリニック・専門外来

日 時 内 容
エキシマレーザー

屈折矯正手術外来

毎週水・土曜日

午後

PRK、LASIK希望患者さんへ術前検査

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4)お問い合わせ先

電話連絡先
京都府立医科大学眼科外来:075-251-5578 もしくは
バプテスト眼科クリニック:075-721-3811
E-メール:ohieda[at]eye.ophth.kpu-m.ac.jp 担当医:稗田(ひえだ)

 

5)近視の手術の総説

近視の手術というと医療におけるキワモノと見られがちだと思います。しかし、近視は眼球形態の異常(眼軸の延長)を伴う明らかな病気であり、ある一定の距離以遠を明視することができません。

多くの近視の方々が、眼鏡やコンタクトレンズといった補助具なしでは日常生活が営めませんし、しかも常にその補助具を装用しなければならないという社会的、経済的ハンディキャップが存在していることもまた事実なのです。

従って、近視の手術的治療は古くから試みられ、すでに18世紀には水晶体摘出による近視治療がおこなわれています。角膜に外科操作を加えることにより近視を減弱する術式を、世界に先駆けてに臨床応用したのは順天堂大学の佐藤勉先生でした。

角膜前面後面放射状切開術を昭和20年代に多数例に施行し、近視治療には成功しましたが、角膜後面の切開により術後角膜内皮細胞障害を起こし水泡性角膜症となる例があり、長期的にみたその結果は満足のいくものではありませんでした。

この経験が日本において、近視の手術に対しての慎重な姿勢を生み、現在に到っているようです。この術式自体はその後幾多の変遷をへて、角膜放射状切開術(RK)へと進化し、有効な近視手術の一つとして認知されています。

約10年前から臨床応用が始まったエキシマレーザーによって近視の手術はより安全かつ確実性のある手術となってきました。このレーザーは高い光エネルギーにより分子間結合を解離させる光切除によって、角膜をサブミクロン単位で平滑に切除することができます。

レンズとしての役割を持つ角膜を正確に形状変化させることにより、その屈折度を定量性をもって変化させることができるのです。懸念される、長期的な角膜内皮細胞への影響も現在のところ認められていません。

このようなエキシマレーザーによる近視の手術はphotorefractive keratectomy;PRKと言います。PRKは、点眼痲酔で行われ、実際のレーザーを照射するのは1分程度で済み、術後は8割以上の方が0.5以上の視力を得ることができます。術後一時的に遠視側にオーバーシュートしますが、約3ヶ月で目標屈折値に達し安定します。

また最近では、単に角膜表面を削るのでなく、マイクロケラトームを使い角膜を層状に切開し、角膜実質のみをエキシマレーザーで切除するLaser in situ keratomileusis;LASIKと言った手術が開発されてきています。この術式では、術後疼痛がなく、視力の回復も早いようです。

しかし、エキシマレーザーを使った手術では、近視が強いほど多く角膜を削ることになるため、あまり強度の近視は適応になりません。また、角膜を削るのはその中心約5ミリですので、ほぼ球面であった角膜は術後中心程扁平になります。

このことで、とくに瞳が大きくなる夜間に違和感を訴えることがあります。その他にも老眼の問題など、近視の治療によるデメリットも確かに存在しますので、近視の手術は患者さんの視機能の質を一元的に上げるとは言い難いかもしれません。しかし、個々の患者さんが充分にこの治療を理解し、納得したうえで手術を選択された場合、かなり満足度の高い治療であることも間違いありません。

PRK,LASIKの医学的な禁忌になるのは、屈折値の安定しない若年者、不正乱視、円錐角膜などであり、比較的禁忌なものには、膠原病、リウマチ、妊娠中等があげられます。また、白内障や緑内障等の有無も適応を左右します。

従って、眼科専門医による診断が不可欠であり、手術および術後治療も眼科専門医によって行われるべきものと考えます。しかし、現時点では、非眼科専門医により行われていることも多く、トラブルが少なくないようです。

今後一般眼科医によるPRK,LASIKが広く行われると予想されてますので、比較的近視人口の多い日本において、近視の手術がより安全におこなわれ、近眼で困っている方々の視生活をすこしでも改善できれば素晴らしいことだと思います。

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