眼球表面の中央部、直径約12 mmの透明な部分が角膜と呼ばれる組織です。角膜に混濁を生じると外の光が眼球内の網膜まで到達することができず、視力低下をきたします。角膜の混濁が残存する場合には角膜移植でしか視力を回復することができません。

 角膜は体表面から順に上皮、実質、内皮に分類されます。各々の部分が単独で障害されたり、あるいは複数の部分が同時に障害され混濁を生じる場合があります。上皮に混濁が生じた場合には、上皮のみを移植する角膜上皮移植が、実質が混濁している場合には上皮と実質を移植する角膜表層移植が、内皮が障害を受けている場合には上皮、実質、内皮のすべてを移植する全層角膜移植が適応となります。

 上皮のみに障害を来す疾患としては、薬品などが眼に飛入した後に混濁を生じる角膜腐食や角膜表面が皮膚のように乾いて混濁を生じるStevens- Johnson症候群、眼類天疱瘡、またトラコーマ後などに結膜が角膜に侵入する角結膜上皮症などがあります。

実質混濁を生じる疾患としては、細菌やヘルペスウィルスによる感染後、あるいは外傷により生じる混濁、また遺伝性の角膜実質変性症などがあります。実質の深い部分まで混濁が生じている場合には角膜全層移植が適応となることがあります。

角膜内皮に障害を来す疾患としては、遺伝性の角膜内皮変性症、白内障手術などの眼内手術を受けた後に生じる水疱性角膜症などがあります。角膜の形状に異常をきたす円錐角膜も全層角膜移植が適応となります。

 角膜移植術はすべて他人の角膜を移植する訳ですから、術後の拒絶反応の管理が非常に重要になります。また、拒絶反応の予防のために免疫抑制剤を使用するので感染症にも注意しなければなりません。予後は疾患により様々ですが、一般に角膜移植は他の臓器移植にくらべ移植片の生着率は良好です。

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